平成最後の夏、20代最後の夏、若者のすべて。
平成最後の夏の終わり
今年のフジロックに Youtube で参加した。ぼんやりとプログラミングしながら横目にしていたサブディスプレイで、小袋成彬がフジファブリックの「若者のすべて」を歌った。
フジファブリックのボーカル、志村正彦は29歳でクリスマスイブに亡くなった。
ぼくは平成元年に生まれ、20代最後の夏を過ごしてる。
2007.11.28
シングル「若者のすべて」をぶら下げたツアーで、18歳のぼくは大阪でライブを見ていた。
志村は冒頭サングラスで登場したり、ゴリラっぽく心臓を叩いて変顔する、っていう謎の演出を唐突に曲の間奏に見せたりしていて。そんなこと普段のライブではしないから、なんでこんなテンションなんだろってみんな思っていたとおもう。
中盤に差し掛かってきたところで、「意味がなくても変なことをして、誰かが笑ってくれる、だからライブをするし、だからここにいる」という内容のことを言っていた。キレキレの演奏の合間な話でおぼろげだけれど、妙に説得力とか納得感があって、それぞれの孤独を認めるような、しんみりしたさみしい響きがあって。それがヒーローだと思った。
そのMCの最後だった。
『帰る時にライブの事を思い出して少しでも笑顔になってくれたら嬉しい』
そう言って歌ったのが、「若者のすべて」だった。
その2年後、彼はいなくなってしまった。
あの言葉と歌を聴いて10年以上経って、その歳になって、そうやって思い出してしまう。
どうでもいい補足
ミスチルの楽曲「HANABI」は「若者のすべて」からインスパイアされて作曲された
「HANABI」が主題歌の月9ドラマ「SUMMER NUDE」では、山Pと長澤まさみが『若者のすべて』の歌詞の解釈を話すシーンがある
キムタク主演「若者のすべて」の主題歌は、ミスチルの「Tommorow never knows」
平成元年年1月1日にミスチルは生まれた。
ぼくは平成元年生まれです。
そして
このあいだ、東京に上京して初めての花火を見た。メンツは高校の同級生3人で、いたばし花火。一緒にフジファブリックをコピーしたバンドメンバーが荒川沿いで一人暮らししていて、そのマンションの屋上で、缶チューハイを乾杯した。荒川を埋める提灯のカーブと人波が幻想的だった。
ぼくたちは大人から、ゆとり世代と呼ばれて、ハンカチ世代と呼ばれて、ミレニアム世代と呼ばれて、これから30歳になる。
「若者のすべて」をなぞるように、20代最後の夏を過ごしてしまっているのは、それなりにこそばゆい。
今日、涼しい風が吹いているので、このことを書いておこうと思った。会社の屋上から見えた渋谷の夕焼けが赤かった。
みんなはそれを「平成最後の夏」って呼ぶらしい。
なにかやり残したことがあるなあって気分になるとき、こういう歌を歌いたくなるかもしれないなあ。